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 例によって「バカッター」の話題がメディアを駆け巡っている。

 本当ならこの種の炎上案件には関わり合いたくない。
 というよりも、黙殺するのが大人としての正しいリアクションだと思っている。
 こんな話題に乗っかったら、私もバカッターの仲間になってしまう。

 別の言い方で言え?#23567;ⅴ嘯?#26144;像をSNSにアップした若者の愚かさよりも、その若者たちの愚かさをネタにVTRの尺を稼いでいるメディア関係者の心根の卑しさの方が、問題としてより深刻だということでもある。

 マタンゴを食べた者はマタンゴになる。そういう映画があった。炎上案件をネタに商売をしている書き手は炎上ライターになる。そういうあさましい展開は、避けられるのであれば避けるべきだ。

 にもかかわらず、私が今回バカッターを話題のとっかかりとして利用する決意を固めたのは、桜田義孝五輪担当大臣の発言を伝え聞いたからだ。

 以?#38534;?#38306;連を説明する。

 桜田五輪担当相は、2月の12日、競泳の池江璃花子選手が自身に白血病の診断を得た旨を発表したことを受けて、記者団に対して以下のような言葉を述べた。

 「金メダル候補で、日本が本当?#20284;?#24453;している選手なので、がっかりしている。早く治療に専念して頑張ってもらいたい。また、元気な姿を見たい。1人リードする選手がいる?#21462;ⅳ撙螭勝膜槨欷?#20840;体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」

 このコメントは、そもそも、誰がどんな立場で言ったのだとしても論外なのだが、五輪担当相という立場の人間が記者団に向けて語った公式の発言であることを考慮する?#21462;?#35542;外どころか、暴力に等しい。

 大臣は、自分の言葉が、命にかかわる病気の診断を得たばかりの10代のアスリート?#21619;私欷長趣?#35469;識していたはずだ。

 とすれ?#23567;ⅴ償幞螗趣?#20869;容は、大臣ご自身がどう感じたのかということより先に、なによりもまず、今後、白血病と闘病することになる池江璃花子さんの心にどう響くのかということを念頭に置くカタチ?#21069;k語されなければならなかった。

 ところが、大臣の言葉は、新橋界隈で収録される酔っ払いのおっさんの街頭インタビューの発言以上?#24605;?#39620;反射的かつ無作法だった。

 正直であること以外に何の取り柄もないのみならず、正直であることの残酷さに満ち溢れた、どうにも無神経かつ失礼な救いようのないコメントだった。

 で、このコメントを聞いて、私はバカッター動画との類似点に思い至ったわけだ。